日本人はリーディングとライティングは得意と言われていますが、英語の技能の中でも習得が難しく、かつ最も大切なスキルはリスニング。その理由を説明します。
英語を使う場面別、目的別にみてもリスニングの重要度は高い
英語4技能のうち、どのスキルが重要かは学習者のニーズによって変わってきますが、リスニングは他のスキルと比べ、様々なシチュエーションで重要度が高いです。
英語を使う場面を「日常のコミュニケーション」と「留学などの授業などの場面」に分けて、4技能の重要度をランキングにすると、以下のようになります。
対人コミュニケーション(日常生活)における4技能の重要度
1位 リスニング
2位 スピーキング
3位 リーディング
4位 ライティング留学など、学術的な活動における4技能の重要度
1位 リーディング
2位 リスニング
3位 ライティング
4位 スピーキング引用:Introducing Second Language Acquisition (Cambridge Introductions to Language and Linguistics) p.144
一般的な対人コミュニケーションにおいて、読んだり書いたりというスキルはさほど重要ではありませんよね。
やはり、話す・聴くがコミュニケーションのメインですし、「聞き上手」という言葉が表すように、会話の鍵を握るのは傾聴力。
聞いてくれて反応がある、会話のキャッチボールが続いていくというのはリスニング力があってこそです。
また、留学などでもリスニング力が低いと大変苦労をします。もちろん、予習として授業前に教科書を読むこと授業の講義の内容理解が楽になるのは確かですが、授業で一番肝心なのはリスニング。
授業にもよりますが、メインは講義形式でしょうから、リスニング力不足は大きなハンディキャップとなります。ディスカッションもリスニング力がないと相手の意見に対して反論や補足などができず、1ターンで終わってしまいますよね。
日本にいて使う機会が限られていると実感がわきませんが、リスニングはどんな場面でも重要度が高いスキルです。私も留学をしてリスニングの重要性を改めて痛感しました。(よく、留学をすれば英語に慣れるといいますが、それは悲しくも「分からないのに慣れる」という意味でもあります。)
リスニングはスピーキング以上に高いスキルかもしれません。それはなぜでしょうか。
リスニングはスピーキングのための最も大切なインプット
日本人学習者はリーディング、視覚情報から単語やフレーズを覚えるのが一般的のようです。それがたとえ英会話(スピーキング)のためであっても、フレーズ集などを買って読んで暗記、というケースが多いのではないでしょうか。
しかし、スピーキングのもっとも優れたインプットはリスニングと言っても過言ではありません。
なぜなら、リスニングはスピーキングのお手本になりうるから。そしてインプットなしにはアウトプット(話す)は起こり得ないからです。
リスニング力があれば、インプットの感度はどんどんあがり、スピーキングで活用できるフレーズの数が頭に蓄積されることになります。
会話の中で、ネイティブが使っているフレーズをどんどん盗んでいくのは、このリスニング力があってこそ。リスニングから覚えたフレーズって、忘れにくいし、実際に会話で使えるものが多くありませんか?
後回しになりがちなリスニングの勉強ですが、スピーキングと結びつけて効果的に行うことが鍵となります。リスニングの詳しい勉強法はまた次回解説しますね。
<参考文献>
Teaching English to Young Learners (Anaheim University Press) (English Edition)