英語をネイティブのように話したい!そんな目標を達成するために必要な5つの要素を、過去の第二言語研究を参考にしながら紹介します。
日本人英語学習者のケースから学ぶ
大人の第二言語習得の研究でよく引き合いに出される日本人英語学習者がいます。彼の名前はウェスさん。33歳でハワイに移住し、英語ネイティブのコミュニティにもうまく溶け込みました。
英語学習者として、とても素晴らしい素質を持ち、うまくコミュニケーションを取り、社会的にも成功した人物です。
発音も良し、リスニング力、理解力もあり、会話力、場に応じた英語を使う力も持ち、文法的な間違いもコニュニケーション力でうまくカバーし、言いたいことを伝えることができます。
もし、英語が「コミュニケーションの道具」として捉えられるのなら、ウェスさんは素晴らしい英語話者です。
ただし、文法に注目して彼の英語をみてみると、御世辞にも上手とは言えない英語なのです。
以下は彼の英語スピーキング例。
Yesterday I’m go beach and Tomorrow I’m go beach.
Today I’m buy cigarettes.
We are come back here early, we are apartment.
Be動詞と一般動詞がごっちゃになってしまっています。そしてこのパターンはもう彼の中で確立しています。
英語学習者の心構えとしてはどうか
ポイントなのは、彼はこのようなミスを全然気にしていないということ。自分では間違った英語を話しているという自覚はありますが、とにかく気にしない。
個人的にとても尊敬できる態度です。間違いを恐れて消極的になるより、どんどん前に出ていく姿勢は素晴らしい。
ウェスさんは、「もしネイティブが自分の英語を理解できないなら、自分の英語力のせいでもあるけど、それと同じくらいネイティブの理解力不足のせいでもある。」というスタンス。ネイティブとやりあうときには、このくらいのスタンスだといいかもしれません。
ただし、こういったミスを気にしない態度、文法に無頓着な態度は、彼の英語力(あくまで文法面からみた英語力)の妨げとなっていると捉えることができます。
どれが欠けてもダメ?英語習得の5要素
以上のケースを踏まえて、英語習得に必要な要素を考えてみましょう。言語学者のオルテガは、第二言語習得の必要条件として、以下の5つを挙げています。
- マスターしたい言語圏の文化を肯定的に受け入れる態度
- 理解可能なインプット(リスニング・リーディング)
- 場に応じた交流(バーで使う英語と銀行で使う英語は違う。その場に応じたコミュニケーション体験が大事)
- アウトプット(どんどん話す)
- 気付き(文法規則など、言語への関心)
ウェスさんに欠けていたかもしれないもの、それは何でしょうか。もうお分かりでしょう。
1〜4はクリアーしていたように思われますが、やはり最後の「気付き」が足りなかったのかもしれません。
インプットから無意識に文法を学ぶという能力は、ある一定以上の年齢を過ぎると極めて難しくなります。
大人の英語学習者は、この「気付き」に敏感だと成功する確率があがります。
喋っているときの間違いはいちいち気にしないけど、直そうとする向上心を持ちながら、英語を勉強すると効果的ということですね。
参考:INTERACTION, ACCULTURATION, AND THE ACQUISITION OF COMMUNICATIVE COMPETENCE: A CASE STUDY OF AN ADULT By Richard W. Schmidt
Understanding Second Language Acquisition (Understanding Language)